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「スペシャリスト」か「ジェネラリスト」か〜コロナ後の医師の進むべき道〜

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以前、コロナ後の開業につき、ブログに書いた。

あの記事は開業にターゲットを絞った話を書いたのだが、今回は、開業医、勤務医に関わらず、このコロナによって価値観が大きく強制的に変えられている今、どう生きていくべきなのか。

今まで通り医局に与えられた勤務先で、与えられた専門分野を極めることを目的に生きていくことが、この混沌とした世の中、果たして正解なのか。


その中で、医師が昔からよく言われるのは、「スペシャリスト」を目指すのか、「ジェネラリスト」を目指すのか、という話だ。

ご存知の通り、医療は非常に細分化しており、ある分野の「スペシャリスト」を目指すことが医師の王道である、という価値観が一般的だと思う。

(総合内科などは、「ジェネラル」であるという「スペシャリティ」だと今回は定義し、「ジェネラリスト」の範疇には入れない)

そうやって我々医師は学生時から叩き込まれ、それが医師としての唯一の道であり、よそ見をする人間は邪道である、という洗脳を受けていると言える。

しかし、これからはそれが果たして正しい道なのか、私は疑問に感じている。

本当に今まで我々医師が与えられてきた価値観が正しいのか。

それについて考えてみる。

ちなみにこれからこの記事では医師としては突飛なことを述べていこうとしているが、私自身はどちらかといえば医師の伝統的なしきたりや、価値観などをよく理解し、それに沿って生きてきた方である。

教授に言われたら「御意」と返事をしてきたタイプだし、その医療界の習わしに反旗を翻したい方ではない。

だがそれでもこれからの時代、医師がそれぞれ生き残っていくことを考えた時、医局含め他の誰も頼れないわけで、自分で自分の生き方の責任を取らないといけないと思っている。

そこで客観的に考えると、今までのような医師としての一般的なキャリアだけでは非常にリスクが高いと思わざるを得ず、これから述べるような発想を持つ必要があるのではないかと考えている。


さて、結論から言うと、これは私の全くの独断の意見だが、

「スペシャリスト」と「ジェネラリスト」の間を目指せ

である。

どういうことか。掘り下げてみる。

まずは総論を、その後具体的に触れていく。

スペシャリスト

説明するまでもないが、ある一つの分野に突出した知識、技術を持っている人のことである。

以前のブログにも書いたのだが、あるニッチな分野で日本で一番になり、そこをとっかかりに横に広げていく(いわゆるランチェスターの弱者の戦略)が大事、と書いた。

これ自体は今でも私はそう信じているし、当然大事な戦略である。

しかしそれだけでは足りない、ということが今後はっきりしてくる時代になった。

2点、ポイントを挙げる。

1点め、この情報化社会、特に今まさに指数関数的に情報量が増え、またそれに誰でもアクセスできるようになってくると、その分野でトップを維持することは非常に難しい。

さらには今後AIが発達してくると、そもそも人間の太刀打ちできるレベルではないところでの勝負になる。

悲しいかな、一つの極めた専門などは、すぐ陳腐化してしまう可能性が出てきてしまった。


2点め、今はあまりにも変化が激しい時代である、というポイントだ。

すなわち自分が極めたそのスペシャリティが、時代に合わず全く不要な知識や技術に一瞬で変わる、ということが起きる可能性がある。

とすると、その分野でしか生きていなければ、居場所が即座になくなることになる。

情報だけではない。

例えば手術や処置など、その治療はその医師しかできない、というパターンでも同じである。

その治療法が一瞬で必要がなくなる、ということは十分起き得る。

つまり、専門がたった一つだけ、では相当厳しい時代になっていくし、危険だと私は思う。

ジェネラリスト

では逆に「ジェネラリスト」はどうか。

そこそこの知識や技術を多数持っているイメージだ。

これもやはり危険だ。

この「ジェネラリスト」が持つそれぞれの知識や技術などは、それを上回る情報を得ることが簡単な時代になってしまったからだ。

厳しい言い方をすればこういう社会では、何でもできる人は、何もできない人と同義になってしまう。

やはり生き残っていくのは難しいと言わざるを得ない。

ではどうすべきか。

複数専門型

目指すべきは、「複数の専門を持つ」、という状態だと思う。

これは、上記のスペシャリストが100点の専門性を持つのに対し、70点の専門性を2つ以上持つ、ということだ。

(なんだそんなことかと思われるかも知れない。

医師には非常に受け入れにくい価値観であることもわかっている。

だが説明を続けてみる。)

もちろんその専門の一つが100点でもいい。

しかし試験勉強でみなさん経験があることだと思うが、0点を70点に上げる労力より、70点を100点に上げる労力の方が相当大変だ、ということはよく感じてきたことだろう。

すなわち、1つの70点を100点に上げる労力を費やす代わりに、別の分野を70点まで上げることを考える、ということだ。

これは、医療の分野の中で2つ以上でもいいが、医療以外の分野の専門も持つ、という戦略も非常に有効だと感じている。

まずは例えば耳鼻科なら、「嗅覚障害」と「めまい」の両方である程度高い知識を持つようなことから始めるのは悪くないと思う。

しかし同じ領域内だけでなく、医療とその周辺の知識とのコラボは非常にニーズが高い。

例を挙げる。

「耳鼻科医」×「論文の集め方」

「整形外科医」×「ITの知識」

「感染症」×「経営の知識」

さらに、その分野が通常であれば相容れない全く違う分野なら、独自性がより上がる。

例えば、

「医師」×「タクシーの運転手」

「医師」×「カフェオーナー」

「医師」×「花屋」

など、今パッと私が思いついたものを挙げてみた。

こういった価値観が我々医師には受け入れがたいこともよく分かっている。

しかし今回のコロナで、医療全体が軒並みダメージを受けたことは事実だ。

医療がなくなることはないとは思うが、今ほど堅いと言える仕事ではなくなる可能性はあるだろう。

それゆえ、医師たるものも、医療以外の領域にも興味を持っていく、という価値観のシフトは必要だと私は思っている。

例えば、上の例の「医師」×「花屋」の場合、

花が好きな女性医師が少しアロマの知識と医療の知識を容れながら喋る、綺麗な花の説明のyoutubeチャンネルは、ある一定のニーズがあるだろうことが想像できる。

そしてもし万が一医師として食べていけない時代がきたとしても、日本中の花屋にアロマの知識などを啓蒙するマーケティングを広げる仕事ができるかもしれない。

「家の片付け方」だけで世界に繰り出している日本人女性がおられることは、ご存知な方も多いだろう。

もし例えばそれに医師という付加価値が加わるとより説得力が増すことは想像が容易である。

すなわちまとめると、1つの専門で日本で1番になるのは難しいが、2つ以上の組み合わせなら、日本で1番になることは可能だろうし、もしそのうちの一分野が衰退したとしても生き残れる可能性が高くなる

そして医師という職業は、その時点で一つの専門を持っているとも言えるので、非常に有利な立場であることは間違いない。

そのもう一つの専門に関しては、自分がやりたい、好きな分野であるのが長続きするコツだろう。

今まで医師として我々が与えられてきた価値観をまずは疑う、それがこれから医師として生き残っていく方法の第一歩だと思う。

目まぐるしく変化するこの時代に、自分は変化しないまま、ということほどリスクが高いことはない、そう私は思っている。

(さらにそういったことを進めていく際、医師が苦手な、採算について考えていくことも非常に大事である。いわゆる「キャッシュポイント」がどこにあるか、を考える癖をつけることは重要である。これはまた機会があれば触れてみたい。)

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