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「働き方改革」に、経営者として今後起きると思うこと

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今までの話とは少し違う話題。

経営者として人を採用していると、現在の働き方改革は、理念は高尚だが現実に即していないと感じている。

完全に私見なので異論もあるとは思うが、述べてみたい。

あと、今回は医師の雇用のことを論じているのではない。医師の雇用はまた別の大きな問題の上で考える必要があり、今回は触れていない。

医院のスタッフを含め、一般的な社員についてのことであることをご理解いただきたい。

「働き方改革」のテーマのうち、「労働時間を減らす取り組み」と、「労働生産性の向上」について言及したいと思う。


さてまず、「労働時間を減らす取り組み」について。

長時間労働が正しいとは私は全く思っていない。全ての人が週休3日で同じ給料を取ることができるのが理想だとすら思っているくらいだ。残業を減らす努力をすることに関しては私は賛成である。

しかし、今回の働き方改革ではうまくいかない気がしている。


なぜそう思うのか。

当院は、もともと残業がそれほど多くない職場ではあるが、この度の働き方改革により、休暇をしっかり取ってもらうという必要性が出てきている。

そこで有給休暇を消化してもらうよう話をしていくのだが、当院含め、おそらく日本の大多数の、職員が10名以下程度の事業所では、一人抜けると仕事が回らず、結局休みが取りづらい。

今までは閑散期などのみに休みを取り、有給休暇を消化し切れていなかったが、当院レベルの事業所でもこれを消化させていく必要がある。

すると繁忙期などに休みを取るためには1人多く雇用するしかない。

しかし、零細企業にとって1人の雇用増はかなり負担が大きい。

そうすると結局一人当たりの給料を下げるしかない。

すなわち、正規と非正規の給料の是正がこの度の働き方改革ではテーマになっているが、給料が非正規ベースに是正されていく可能性が高い。すなわち正規職員の給料は下がる一方であり、最低賃金レベルで働く正規職員の数が増えていくだろう。


次に「労働生産性の向上」について、だ。

労働時間、残業を減らしても生産性が変わらないようにするためには、時間あたりの労働生産性を上げるしかない。

しかし実際はこれは極めて難しい。

当院も今まで何人もスタッフを採用してきており、スタッフ教育を施していくわけであるが、やはり仕事の習得には個人差が大きく、短時間で習得するスタッフがいる一方、何年経っても習得できないスタッフもいる。

しかし今までの時代はそういうスタッフも残業をすることで生産量を補い、その職場での居場所を確保してきた。

しかし今回の働き方改革で、残業が厳しく禁止されていく。

すると、今まで労働時間の延長でカバーしていた職員は、その会社では必要のない人材になっていく。

雇用者側も、今まではそういうスタッフでも長時間労働して補っていることで暖かく見守り、雇用を継続してきた経緯もあるだろう。

それが今後長時間労働が不可能になると、事業者側にそういうスタッフを雇用している余裕がなくなる。

すなわち、優秀とされる職員は採用され雇用が継続されるが、仕事の習得が遅く労働生産性が高くない職員は採用されないか、解雇されていく。

結局今以上に能力主義が助長され、格差が増大していくと思う。

今はまだ売り手市場なため、事業者側は習得が遅い職員でもしかたなく雇用しているケースもあるだろうが、今後AI、IoT化が進むと、例えば医院でも受付スタッフが必要ないか、かなり減らせていける時代が来るだろう。

そうすると、今度は買い手市場にシフトしていく。

そして生産性の低い職員から解雇されていく。

今以上の格差社会が訪れることになるだろう。

しかもこれによって起きる格差社会は、正規と非正規、給料の多い少ないではなく、

仕事がある、ないという格差社会である。

つまりまとめると、優秀な一部の人間は重宝され、昇給していく、しかし圧倒的多数の一般的な能力の人間の給料は下がっていく。しかもその中の、やや要領が悪いとされている人間は解雇されていくという、厳しい流れになるのではないか。


以上のようなことから、今回の働き方改革は、理想論のみで、現実にはうまく機能しないだろうと感じている。

零細開業医として普段雇用を進めていく際に悩みや問題と直面することは多く、今回の働き方改革で、むしろ労働環境が悪くなってしまう懸念を持ったので、ブログに書いてみた。

為政者側はもちろん今回の改革をする前に、大企業だけでなく、中小企業へのヒアリングは行なっているのだろう。

しかし今からでも遅くはない、日本では大多数を占める、中小企業経営者、従業員の意見をもっと吸い上げるのが良いのではないかと感じている。

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