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コロナで実感する、固定費を下げることの重要性

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今回のコロナで、医院経営で、いかに固定費を下げることが重要なのかを、まざまざと実感することになったので、グラフで説明する。

先日、5月の収支の計算をしてみた。

5月もコロナによってまだまだ当院も例にもれず打撃を受けているため、相当赤字が大きくなっているのでは、とドキドキして計算していたのだが、意外と赤字にはならなかった。

大きく赤字になることを想定して、融資も景気良く(?)受けておいたのだが、今の所すぐ使うことにはならなさそうだ。

では、なぜ意外と利益が残ったのか。


答えは医院が「固定費」ビジネスである、ということに尽きる。

以前のブログ(医院開業に際し知っておくべきお金の話〜経費〜)で固定費と変動費については述べているので、詳しく知りたい方はご参照いただきたい。

医院は典型的な固定費ビジネスである。

(6/4追記

科目によって、差があるとのご指摘をいただいた。例えば整形外科や産婦人科は、変動費の割合も高くなる傾向があるようだ。精神科などは、ほぼ固定費だろうし、科目ごとの差はある。しかしトータルでは、固定費率が高い方の業態であることは間違いないだろう。)

しかしその固定費が、他の例えば士業のような業種より高い傾向がある。

テナント料、人件費、機械のリース代、メンテナンス費などが月の売上に関係なく経費として出て行く。

平常時のグラフ

ここで、例えば、一例として、ある医院の経費と売上のグラフを見てもらいたい。

固定費が月180万円のクリニックとする。

患者一人当たり単価5000円、診療日数は月20日と計算し、変動費は少し乗せるとすると、図のようになる。

平常時

1日患者数25人なら利益が出る計算とした。


さて今回、コロナによって、患者数が多くのクリニックで3割減、4割減となった。

これに関しては、元々の患者数の多さ、少なさに関係なく、どのクリニックも一律で患者数が減っているようだ。

コロナによって3割減のグラフ

そこで、売り上げを単純に3割減にして、グラフを書き直してみた。

コロナにより患者3割減の場合

コロナ前に患者数45人だったクリニックでは利益が出なくなってしまった

しかしもともと1日65人患者が来ていたクリニックはまだ十分利益が残っている。

変動費も下がるのでは、という疑問があるかもしれないが、薬剤の仕入れなどは数ヶ月前に準備しているし、繁忙期のための臨時の派遣職員などを雇っていたとしてもすぐ解雇はできなかったりする。

すなわち変動費が下がるのはタイムラグがあり、今回のような急な天変地異では変動費の変化は期待できないと考えていいと思う。

固定費を40万下げると


さてここで、固定費がもともと40万低い、140万のクリニックがコロナの打撃を受けたらどうなるか、グラフを書き直してみる。

コロナ3割減、固定費140万(40万減)

患者30人でも利益が出ることとなった。

固定費40万と聞けば大きな金額に思うが、クリニック経営においてはこういった差はよくあることだ。

例えば、40坪の医院で、坪単価1万5000円のテナントもあれば、8000円の所もある。

これだけで28万の減だ。

さらに、開業時に例えば検査機器をいくつかを導入したくなることもあるかもしれない。

そのリース料は、月10万くらいかかることはざらである。

すると合計38万である。

固定費を40万上げると

今度は逆に、固定費40万増加、220万としてグラフを書いてみる。

コロナで3割減 固定費220万(40万増)

1日に40人患者が来ても利益が出ない可能性が出てきた。

このように、固定費を下げることは、今後こういった不測の事態が起きた時、自分の命を救うことになるのである。

決して、業者に言いくるめられて、必要のない月額契約をしてはならない。

固定費の下げ方

では、固定費を下げるポイントをまとめてみる。

① 家賃を下げる。

コロナによって、一等地の空きテナントが出だしているようだ。

弊サロンでもその話題が出ていた。

こういったテナントを、以前より安い家賃で借りられる可能性が出てきた。

また一般論として、都会より、郊外の方がもちろん家賃が安い。

もちろん田舎すぎると患者が来ないため、必要な患者数の確保ができるエリアに開業すべきだとは思う。

しかし大都会も、家賃が高く、競合医院も多いということを考えると、相当戦略を練って開業しなくてはいけない。

ある程度郊外だが、人口があるようなエリアが望ましいと思う。

こういったエリアでコロナで空きテナントになってオーナーが困っている、というような所は交渉で家賃を大きく下げられるかもしれない。

② 必要のない機械は買わない

開業時に医院の売りを作りたいと思い、高額な機械を買いたくなることがある。

しかし、はたしてその機械目当てに来る患者は1日に何人いるのだろうか。

実際は美容外科などでさえ、機械目当てで来院する人は多くないと思われる。

買いたい機械があるのなら、ある程度軌道に乗り、十分内部留保が溜まった時点で、その中で無理のない範囲で購入するのが賢いと思う。

③ 返済はできるだけ長くする

融資の返済を長くすることは重要だ。

それによって月の返済額が10万変わる、ということはザラにある。

上記のように数十万の経費が変わるだけで赤字になる可能性があるのである。

交渉し、とにかく月々の返済額を下げるようにしておくべきだ。

④ 人件費を下げる

医療はどうしても人件費がかかる。

看護師などの有資格者は特に高給を出さないと来てくれない。

開業当初はできるだけパートのみで集めるのが良いだろう。

今後コロナで人材が増える可能性があるため、パート勤務でもいい人材が集まる可能性があると思う。


などだろうか。

上記を意識するだけでも数十万程度の固定費削減が可能である。

開業費も重要だが、固定費を下げる、これを意識することで安全に開業できると思う。

ここはコロナによって逆にチャンスといえる部分であり、これを生かした開業はこれからしばらくは狙い目かもしれない。

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