開業医による、本当に役に立つ医院開業のコツ

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医院開業すべきか?4~お金(年収)~

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前回は、「開業すると医師自身のQOLはどうなるか」について触れた。


さて、医師が医院開業を志す際に、動機の一つとして金銭面は当然大きな要素の一つだろう。

このテーマに関しては多くの伝えたいことがあるが、今回は下記にしぼりたい。


医院を開業した場合、いくら稼ぐことを目標とすべきか。

私見だが、

開業医は、勤務医の給料の3倍は稼ぐつもりでないといけない

と思っている。その理由は後に述べる。

医院開業数年後、後輩に、「勤務医と同じ給料と決まっているとしたら、今でも開業を考えますか」と聞かれたことがある。

私は、「開業しない。最低2倍は確保できないとしないだろう」と答えた。


私自身、開業前は年収1000万前後だった。世間的には高給取りということになるだろうが、体感的には決して余裕がある感覚はなかった。

学会発表に伴う交通費や宿泊費、参加費(2万円くらいすることもある)は大体自腹だし、後輩やコメディカルの人たちと食事に行くと、会計は先輩が持つと言う暗黙のルールもある。

また、病棟忘年会などは、医師1万円、看護師3000円などという値段設定が普通だ。

医師は大学院には就職してから進学することが多いが、その学費もかかるし、留学するとなると大抵大きく出費が増える。

また医学書はマイナーなものほど値段が驚くほど高いし、雑誌も一冊一冊高いため、これらの購入も財布を圧迫する。

そもそも1000万から1500万くらいが税金や社会保障費の天引き額が大きいので意外と手取りが少ない。

世間で思われているほど、裕福な暮らしはできないものである。

そして、経済的にもう少し余裕が欲しい、というモチベーションが出てくると、開業を視野に入れることになる。

もちろんこういう理由だけではないことはもちろんだが、一つの要素として入ってくるのは否めない事実だ。

さらに、リスクを取って開業するからには経済的成功も望んで始めるわけで、勤務医より手残りをが多くならないと後悔が残るだろう。

私自身は、開業して数年後、勤務医の3倍程度になり、やっと食べたいものを食べる、買いたいものを買える、そういう感覚になってきた。


ではなぜ、「勤務医の3倍は稼ぐつもりで開業すべき」なのか。理由を述べていく。


1 手取り全てを自分の自由に使えない

自営業者ならよくわかっていることだろうが、将来的な医療機器の買い替え、スタッフのボーナスなど、大きく出費が出る場合、まずはその手取りとして残っているキャッシュからの出費となる。

そしてもちろんプライベートの自宅購入や子供の教育費などもその手取りから出すことになるため、さらに貯蓄は必要になる。


2 休診すると、翌日より収入が0になり、支出のみが残る

開業して私が最も大変であると感じているのはここだ。開業医はいかなる職業よりも「プレイングマネージャー」として度が過ぎる職業だと思う。

もし病気などで数ヶ月入院などとなると、その間の収入がなくなる。多くの場合、医師一人が稼ぐ収入はかなり大きいため、それが全くなくなることは、かなりのボリュームのダウンとなる。

しかし家賃、スタッフの給料、月額契約の広告、電子カルテなど、支払いはほぼ減らない。

そして例えば、晴れて1ヶ月で復帰できたとしても、収入は元には戻らない。クリニックは1ヶ月も空くと患者は他院に流れることが多く、通常一つの医院に受診を始めるとしばらくは通い続けることになるため、元に戻るにはかなり時間を要するだろう。

この事態に対し、開業医は所得保障保険に加入することが多いだろう。

しかし経費から考えると数百万が下りる保険に加入する必要があるため、これの掛け金は高額になる。それ以上の利益を上げておかないといけない。


3 累進課税により、手取り割合はかなり減っていく

日本の税制は累進課税だ。額面1000万と、額面3000万では手取りは3倍にならず、実際は2倍少しだ。

すなわちある程度の手取りを確保しようとすると、かなりの増収を目指さないといけない。


4 そもそも業績がどうなるか読めない

これも当然のことだが、開業5年から10年は認知度の上昇にあわせて利益が増大することが多いが、それ以降は通常横ばいか、下降線をたどる。

利益が下がり始めても、経費は通常はしばらくは変わらない。人件費などはすぐ下げることはできないからだ。

一度上がった人件費や経費を下げられないと、開業当初と同じ収入になったとしても、当時は黒字だった収支は赤字になる可能性がある。

例えば、プロ野球選手は高額年俸を取るが、選手としての期間は短く、生涯賃金で考えるとそれほど高くないことがある。開業医もそこまでではないとしても、稼げるときに稼がないといけないと意味では、我々も同じ考えが必要であると思っている。


5 教育費がかかる

これは個人差があることではあるが、多くの場合、開業医は子供にクリニックを継がせることを考える。子供が国公立大学に入れる能力があればよいが、昨今の医学部偏差値急騰の時代、多浪の上、私立医大に入ることも多い。

その場合の教育費は数千万から1億に至る可能性がある。

こういったことを考えると、十分に貯金ができる収入を確保しなければならないことになる。


6 借金返済は手取りから返済

開業時の借金の返済は経費にならないため、税引き後の手取り収入から返済する。

たとえば6000万円を20年ローンで借入した場合、月々25万を手取りから返済することになる。これは特に当初は大きくのしかかる。


これらのことを鑑みると、私の体感的な感覚であるが、医院開業は、勤務医時代の2倍程度では心もとなく、3倍程度は必要であると考えるのである。

繰り返すが、高額な借金というリスクを取って始めるのだ。ここを目標にすべきだと思っている。


次回、もしくはいつか、具体的にはどの程度の患者数を診ることでこれが達成されるのかなど、触れていきたいと思う。

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