開業医による、本当に役に立つ医院開業のコツ

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医院開業に際しコンサルタントは必要なのか

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さて、世間はコロナウイルスの話題で花盛りだが、みなさんが私に期待しているのはどうやら医院開業にまつわる話なので、性懲りも無く、今回はこの話題。

コンサルタントについて。

一体何をしてくれるのか。

費用はいくらなのか。

そもそも、コンサルタントと契約するべきか。

色々な意見を聞くことだろう。

今回は、今まで様々な種類のコンサルタントと仕事をしてきた私が率直にCOIを全くなしに、思うことを、ざっくばらん書いていきたいと思う。

コンサルタントとは何か?

まずは定義から。

そもそもコンサルタントとは何か。

wikipediaによると、

顧客が抱える何かしらの課題を解決するための思いついた方策を提供している。

とある。

我々医師にとっては、診療に関してはもちろんプロであり、自信を持つ部分である。

しかし開業を志した時、実際開業に際しすべきこと、開業してからの経営が成り立つことは、今まで経験がなくノウハウもない部分である。

そこをコンサルタントに依頼することになる。

すなわち、一般的に医師がコンサルタントに頼むことは大きく下の2つに分けられるだろう。

① 開業支援コンサルタント

② 経営コンサルタント

①は、開業を考えた勤務医が契約することになるコンサルタントで、開業を志してから、開業初日を迎えるまでの諸々の仕事を手伝うコンサルタントである。

一方②は、開業後、集患に行き詰まったり、さらに拡大したいと思った時に契約するコンサルタントである。

ここで、多くの開業医が契約することになるのは①のコンサルタントである。


今回は、この開業支援コンサルタントに限定して言及していきたい。

(経営コンサルタントについては、こちらのブログで触れているのでご興味があればご覧あれ。

また、税理士、社労士なども広い意味ではコンサルタントに近いが、こちらに関しては今回は言及しない。こちらも機会があれば。)


さて、医師が開業を志すまでの間、すべき業務は以下のようなものがあるだろう。

物件探し、家賃交渉、内装設計施工(戸建なら土地探し、建築)、医療機器購入、備品購入、関係役所申請、開業告知、職員採用、などだろうか。

これらを開業前に進めていかなければいけない。

この業務をアドバイス、もしくは代行してくれるのが、開業支援コンサルタントの役割である。

胡散臭いのか?


さて、コンサルタントというと、正直あまりいい印象を抱かない人も多いだろう。

実際私もそう思っていた。

我々情弱な医師を食い物にして、利益を上げる、いい加減な仕事、というイメージを持つ人もいると思う。

先輩医師に聞いても、色々な意見を聞くだろうし、ネットで調べても出てくるのは業者の営業サイトのみだ。

そして、例えばあるコンサルタントが、私はこんな素晴らしい実績がありますよ、と近寄ってきたとしても、多くの医師は警戒心を抱くだろう。

実際、悪徳なコンサルタントも存在する。

ただ、一方で、医業以外の経営の仕事を全くしたことがない医師にとって、果たして自分一人で開業までこぎつけることができるのか、不安に思うことも往々にしてあるだろう。


では実際私が色々な会社や立場のコンサルタントと仕事をしてみて、「胡散臭い」かどうか。

これは、「人による」としか言えない。

ここでよく考えてみてほしい。

例えばどの寿司屋が美味しいか、あなたが知りたいとして、だれか知人に当たるとする。

その際、「彼なら信頼に足る情報を丁寧に教えてくれるな」「彼はきっと何も知らないな」「彼はもっともらしいことを言うがいつも怪しいな」「彼は全く親身になってくれないな」など、人によって評価が違うだろう。

コンサルタントも同じである。

コンサルタントの中にも、いずれのタイプも存在する。

明らかに胡散臭い人もいれば、本当に真面目なクライアントのために尽力してくれる人もいる。

すなわち、その人間次第なのである。

「医師」や「税理士」などは国家資格であり、その資格を剥奪される可能性があるという制約を負っていると言う意味でそれを持つだけである程度の質の担保にはなる。

「大企業勤務」も、その会社の看板を背負っていること、その担当者がイケてなくても代わりの社員がいる、ということでこちらも質の担保がある。

しかし、「コンサルタント」は、誰でもそうと名乗れば今日からコンサルタントだ。

すなわち質を担保するものは何もなく、その人がどういった人か、ということに完全に依存する職業なのである。

では、その中で、信頼に足るコンサルタントを決めるにはどうすべきなのか。

これについては後述するとして、まず、そもそもコンサルタントと契約する必要はあるのか、ここから考えていきたいと思う。

契約する必要はあるのか

医師によっては、コンサルタントとの契約など、全く必要ないという人もいる。

また、やはりコンサルタントは必要だ、という医師もいる。

さてこれは私見だが、結論から言うと、開業を志す医師のうち、コンサルタントが必要ない医師は1割、多く見積もって2割いないではないかと思う。

(私の周りの医師たちを見ての考察であり、根拠はない。科目にもよるだろう。器械などがあまりいらない精神科や小児科などは、それほど必要がないかもしれない)

なぜそう思うか。

では、コンサルタントが必要ない医師は、どのような医師か、下に列挙してみる。

①経営に際し、興味を持って自分で勉強できる

②開業準備に十分時間、労力を費やすことができる

③周りに相談できる人がいる

それぞれ解説する。


①経営に際し、興味を持って自分で勉強できる

これは、ハード面、ソフト面両方の側面で考えていく必要がある。

まず、ハード面。

これは、上述の開業にまつわる業務を自分で勉強して進めていく、ということだ。

最近はネットでも相当情報を集めることもできるし、書籍もある。

また、それぞれの担当者に話を聞くこともできるだろう。

色々な相場も知らない状態で、これらを全て自分で進めていく必要がある。

ついでソフト面。

開業とは、起業であり、経営者になる、ということである。

どんな医師も研修医としてスタートするのと同じく、どんな経営者も、初めから経営者として十分な能力を備えているということはありえない。

しかし、起業するということは、いきなりその経営者になるということだ。

医師として尊敬を集めていたとしても、全く関係がない。

すなわち、初心者経営者としての自覚を持ち、関わる業者、スタッフに向き合う覚悟が必要となるだろう。

こういったことを一人でこなす覚悟のある人でないといけない。

②開業準備に十分時間、労力を費やすことができる

開業数ヶ月前まで通常勤務医として病院勤務していることがほとんどだろう。

ほとんどの勤務医は多忙である。

毎日帰宅が22時、週末もほぼ勤務、という状況の医師もいるだろう。

その中で、業者との交渉、物件の確認、スタッフ面接などをこなさないといけない。

例えば外来勤務のみにするなど、開業前に勤務を軽くし時間を作ることができればよりよいだろう。

③周りに相談できる人がいる

結局全く一人で全てをこなすのは非常に難しいため、例えば懇意にしている税理士さんであったり、先輩開業医であったり、困った時に相談できる人がいないと現実問題非常に難しいと思う。

そして特に、適切な業者などを紹介してくれる先輩などは必要だろう。

(すこし手前味噌の宣伝だが、我々のサロンもぜひご活用いただければと思う)


以上のようなことを考えると、コンサルタントをつけずに進めていくのは相当覚悟がいると思う。

しかし医師の中には相当アグレッシブなスーパーマンもおり、コンサルタントなしで全く問題なくすべて自分でこなす人がいるのも事実だ。

そういった医師は、自分ですべて準備することで、開業費用を節約することができるだろう。

しかし上記のようなことを自分でする自信がない医師は、やはりコンサルタントをつけて開業準備をした方がスムーズだと思う。


そしてもし今、私がもう一度新規開業するなら、コンサルタントと契約するか、と想像してみた。

答えは、おそらく契約するだろう(ただ部分的ではあるだろうが)。

もちろん今なら開業前にどのような仕事が必要か、どの時期に何をするべきかは大体把握できている。

各種業者との付き合いもある。

一人で開業準備することも可能だろう。

しかし、手間を考えると、委託できる業務は人に任せ、自分はさらにクリエイティブなことを考えることに時間を費やしたいと思う。

時間をお金で買うイメージである。

どんな種類のコンサルタントがいるのか。費用は?

ここで、開業コンサルタントの種類に触れておきたい。

開業コンサルタントには、下記のような、様々な成り立ちのコンサルタントが存在する。

①医薬品卸コンサルタント

②会計事務所系コンサルタント

③建築会社系コンサルタント

④調剤薬局系コンサルタント

⑤開業専業コンサルタント

それぞれについて説明する。


①医薬品卸コンサルタント

最も多数を占めると思われるコンサルタントである。

勤務医時代は医薬品卸業者との付き合いはほぼなく、製薬メーカーMRとしか話す機会がほとんどないが、開業すると、医薬品卸会社担当者との関係が密になる。

内服、点滴などは、法令上直接メーカーから買うことができず、医薬品卸業者を通して買わなければならない。

なので、卸業者としては開業前から開業予備軍とつながりを作っておくことで、その後の契約に繋げたいという意味で、開業支援部門が存在している。

また、多くの医薬品卸業者は、中に医療機器部門も持っていることが多い。

なので、開業前の物品や医療機器、医薬品はその卸業者を通じて買うことになる。

またコンサルティング費用は大体無料だ。

しかしその業者を通して高額な医療機器を買うことになるため、そのマージンは取られているので、通常おそらく100万以上の費用を払っていることと同じである。

ただ、開業してからの付き合いが長くなるため、その医院がある程度流行らないと自社経由で医薬品を買ってもらえないため、無茶な物件を紹介してくることは少ない印象である。

大手企業であり、多くの医療機器、内装業者と付き合いがあることが多いが、ここを通すとすべてで仲介料が発生していると考えてよい。

また、開業後は基本的には経営にはノータッチだと思ってよいだろう。

ちなみに私はこのタイプのコンサルタントと契約して開業準備をしたのだが、開業半年して他の卸業者とも契約しており、今はそちらとの取引量の方が多い。

必ずしも一生その卸業者とのみ付き合わないといけない、ということはない。

②会計、社労士事務所系コンサルタント

税理士事務所、社労士事務所が事業拡大のために開業コンサルティング部門を設置しているパターンである。

もちろん開業後の顧問契約に結びつけるためであり、大体費用は無料である。

このタイプのコンサルタントも、開業後の付き合いが長くなるため、やはり医院が流行らないと自事務所も顧問料を取れないし、毎月の医師の色々な悩みを聞く係になることを考えると、こちらも無茶な物件を紹介してこない印象である。

しかし会計、労務に関しては強いが、医療機器、内装業者、HP業者などは限られたところとしか付き合いがないこともあり、そこは医師側が自ら開拓した方が良い場合もある。

開業後の経営についての相談はこの系統のコンサルタントが最も乗ってくれるかもしれない。

③建築会社系コンサルタント

ここは、もちろん、医院開業に際し自社を使っての建築、内装設計施工に繋げる目的に設立された、建築会社所属コンサルタント部門である。

ここも費用は無料。

建築会社にとっては医院が出来上がればそこで収益が確定するわけで、その医院がウハクリになろうがツブクリになろうが関係ない。

空いている土地ありきで開業を勧めてくる可能性も否定できない。

さらに開業後の付き合いは、時々起きる内装の修繕などのみであり、開業後の経営に口出しすることはまずないだろう。

すなわちここと契約するときは、物件の立地は果たして良いのか、自分で見極める必要がある。

④調剤薬局系コンサルタント

ここは最も開業後の付き合いが強いと言えるコンサルタントだろう。

費用は無料。

多くの場合、調剤薬局が建てたテナントやクリニックモールに入ることが条件となる。もちろん近隣にその調剤薬局があり、患者がその薬局で処方されることを目的としている。

クリニックの繁栄が薬局の繁栄に直結するため、看板の設置費用を持ってくれたり、家賃を始め1年は便宜してくれたりと最も手厚い印象だ。

しかし薬局と軋轢が生じると、薬局側がオーナーでもあり、ねじれの関係になってしまう可能性もある。

また、医療モールなどはなかなかテナントが埋まらないことも多く、立地が悪くてもテナントを埋めるために誘致を積極的に行うこともあり、医師側の見極めが非常に重要であると言える。

⑤開業専業コンサルタント

さて、もっとも吟味して契約すべきはこの種のコンサルタントだと私は思っている。

多くは費用は100万から200万くらい。

高額に思えるが、上記①から④のコンサルタントも結局器械購入の際に中抜きされているため結局はこれくらい払っている計算になることもあり、ここはそれほど法外ではないと私は感じる。

彼らの売り文句は、「直接医師から費用をもらう分、業者からは中抜きを取っていないので、医師の側の味方に完全に立って、業者を選別することができる」と言うものである。

確かに一理あるのだが、実際は人間同志の関係なので、彼らも業者との付き合いもあるわけで、やはりその担当者のさじ加減で業者の斡旋を行われる可能性を否定できない。

また、最も気をつけないといけないのは、開業させるまでで彼らの収益が確定するため、その後のことはほぼ関係ないことだ。

「損益分岐点に到達するまではコンサルティングしますよ」などと営業してくるが、実際は開業後の仕事は彼らにとってはお金を生まず、コストでしかない。

実際、業者によっては、開業までは親身に手伝ってくれたのに、開業後患者が来なくて相談しようとしても電話が全然繋がらない、などという話も聞く。

この種のコンサルティング会社を考えているのなら、今までの実績と、会社として何年経営してきたのか、よく調べる必要があるだろう。

もちろん真面目な大手の会社も存在はする。

どうやってコンサルタントを選ぶのか

さて最後に、上記の内容をふまえ、何を根拠にコンサルタントを選ぶのが正解なのだろうか。

①信頼できる人の紹介か

②開業後の付き合いがあるか

③自診療科目の経験があるか

④今まで経験が豊富にあるか

⑤人間的に相性が合うか

こういった要素だろう。

その中で私が最も重要だと思うのは、やはり①の信頼できる人の紹介か、だと思う。

例えば別の話ではあるが、富裕層が資産管理を任せるプライベートバンクなどは、基本的に紹介経由でないと契約できないことが多い。

ある程度大きな金額が動く個人事業というのは、結局世界中どの業界を見ても紹介によって成り立っている。

そこを質の担保としている。

また、事業として長く継続できているのか、これも大事だと思う。

前述した通り、コンサルタントは、自分がそう名乗れば今日からでも可能な商売なのである。

この業界で例えば7年やっていけているなら、それなりの信用があると思っていいと思う。

最後に最も重要なこと

色々なことを述べてきたが、これが最も重要だと私が思うこと。

コンサルタントと契約して開業準備するとしても、

とにかく自分でもきちんと考え、丸投げは絶対しないこと!

これが最も重要である。

コンサルタントが信用できるようになると、逆になんでも丸投げしてしまい、大事な決定までコンサルタント任せにしてしまう医師もいる。

これだけは絶対避けるべきだ。

医師が思う以上に一般社会は性善説のみでは成り立っていない。

皆が利益を上げることに必死だからそれは仕方ない。

なのでそれを踏まえた上でこの社会に踏み出さないといけない。

今はネットでいくらでも調べられる時代である。

自分でも情報を集めたり、相場感をつけたりして、コンサルタントの言いなりになることはやめるべきだ。

そして全ての業者をコンサルタント経由で契約するのではなく、自分でネットで見つけて契約することも大事だ。

例えばチラシの印刷一つをとっても、業者の斡旋業者では簡素なチラシでも高額になることがある。

自分でパワーポイントで作れるなら、プリントパックで郵送まで安く済ますこともできる。

時間をお金で買うとは言ったが、自分でできて節約できることは積極的に自分でやるべきだ。

そして、コンサルタント一人の意見を鵜呑みにするのではなく、先輩医師や、他の業者と相見積もりを取るなどし、業者に

「この先生はよく知っているのであなどれないぞ」と思わせることも大事である。

もちろんコンサルタントも人間なので、疑われてばかりではいい仕事をしてくれないので、その辺りはこちらからの押し引きを見せていくことは大事だと思う。


以上長くなったが、自分はそもそもコンサルタントと契約すべきタイプかよく考え、もしコンサルタントと契約するならば、丸投げにせずうまく付き合っていくことが重要である。

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